はい、今回は前回の続きで、
もう少し現実的なゲームを見ていきましょう♪^ー^
とりあえず、
囚人のジレンマ型のゲームだと、
お互いが利己的に動いた結果、本来
お互いにそれよりもっと良い状態があったはずなのに、
それより悪い状態に陥ってしまうことがわかりましたね。
しかし、この囚人のジレンマ型ゲームも
「同じゲームを無限に繰り返す」
という条件を付け加えると、今までと違った結果になる可能性があります☆^○^
前回の講義でもやった
[価格引き下げ競争]というゲームを例に考えてみますね。
図111−1
これは、
利得は
・AもBも「価格を維持」⇒AもBも5億円
・Aは「価格を維持」、Bは「価格を下げる」⇒Aは2億円、Bは7億円
・Aは「価格を下げる」、Bは「価格を維持」⇒Aは7億円、Bは2億円
・AもBも「価格を下げる」⇒AもBも3億円
というゲームでした。
今回は、
「このゲームを無限に続けていく」というゲームにして考えます。
もし、どちらの企業も「引き下げ」をし続けると、
常に利得は
(3億円、3億円) のままです。
ただし、そのうちどちらかの企業が
「このまま一期に3億円ずつ(両方引き下げ)お互いが手に入れるよりも、
お互いが5億円ずつ(両方維持)手に入れたほうが得なんだけどなぁ・・・」
と気づくでしょうね。^_^:
ただし、
「自分だけが維持で、相手は引き下げ」だと、今までよりも
(自分にとって)悪い結果になることがわかっています。
(自分の利得が 3億⇒2億にダウン)
となると、
それでも相手が「維持」を選ぶようなインセンティブをいかにして持たせるか?
が重要になりますね。
※インセンティブ=そうしたいと思う気持ち
「
自分が維持を選ぶと実は特になるんだな〜」といかに思わせるか、と言い換えてもいいですね。
その作戦の一つに
『おうむ返し戦略』
というものがあります♪^▽^
おうむ返し戦略というのは
「相手が前期してきた戦略を、今期自分が選ぶ」という、
きわめてシンプルな作戦です。^_^:
たとえば、
前回相手が「引き下げ」を選んでいたなら、今期自分は「引き下げ」、
前回相手が「維持」なら、今期自分は「維持」ということですね。^_^
実際にAがこの戦略で戦うと、
@Bが引き下げをし続けようとする
Aも引き下げを選び続けて、
相手にとっても3億円づつしか手に入らないことがわかる。
ABが気まぐれで維持を選んだら
Aも次に維持を選ぶので、
相手は「前期の自分の行動が来期の相手の行動になる」と気づく。
BBは「自分が維持を選んでる限りAも維持を選ぶんで、5億円の利得が得られる」
と気づくので、
Bは維持を選び続ける。
Cその状態でBがもし引き下げを選んでしまうと、
Aは次に引き下げを選ぶので、
次の時期にBの利得が今より減るのが確定してしまうので、
Bはこれ以降引き下げを選ぶことはなくなる。
と、@〜Cのような流れで、
Bをうまいこと「維持」に誘導できると思われます♪^▽^
この作戦の一番おもしろいところはCの部分です。^〜^
Bが維持を選ぶ限りは、Aの作戦はBにとってもプラスなのに、
Bが引き下げを選ぶと、Aの作戦はBにとってマイナスになってしまいます。
Aは「前期の相手の行動を今期まねする」という動きをしているだけなのに、
Bにとってはそれが上手い具合に「アメとムチ」の状態になるのですね♪^○^
この作戦のもう一つ良い点は、
「選択自体を強制していないこと」です。
どういうことかというと、
別に誰かが命令して、強制的にBを「維持」に向かわせたわけではない
ということですね。
別に、
Bは「Aの利得を増やしてやろう」という利他心で行動したわけではなく、
「維持を選んでおけば、自分の利得は5億円でい続けられるな♪」という
自分の利得だけを追求した
利己心です。^_^:
詳しくは言いませんが、
利他心よりも
利己心のほうが、
結果的に長続きしてなおかつそれをし続ける意義も大きく、
下手に利他心を(武力などで)強制するよりも良い結果が得られる場合が多い
ということを覚えておいてください。
はい、とりあえず今回の講義で囚人のジレンマの問題は
「おうむ返し戦略」によって打破される場合があることがわかったので、
これが経済学的にどう応用できるかを次回考えてみましょう☆^○^
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