講義118. 囚人のジレンマD

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はい、今回は前回の続きで、

もう少し現実的なゲームを見ていきましょう♪^ー^


とりあえず、囚人のジレンマ型のゲームだと、

お互いが利己的に動いた結果、本来お互いにそれよりもっと良い状態があったはずなのに、

それより悪い状態に陥ってしまう
ことがわかりましたね。

しかし、この囚人のジレンマ型ゲームも

「同じゲームを無限に繰り返す」

という条件を付け加えると、今までと違った結果になる可能性があります☆^○^

前回の講義でもやった[価格引き下げ競争]というゲームを例に考えてみますね。

図111−1


これは、利得

・AもBも「価格を維持」⇒AもBも5億円
・Aは「価格を維持」、Bは「価格を下げる」⇒Aは2億円、Bは7億円
・Aは「価格を下げる」、Bは「価格を維持」⇒Aは7億円、Bは2億円
・AもBも「価格を下げる」⇒AもBも3億円

というゲームでした。

今回は、「このゲームを無限に続けていく」というゲームにして考えます。

もし、どちらの企業も「引き下げ」をし続けると、

常に利得は (3億円、3億円) のままです。

ただし、そのうちどちらかの企業が

「このまま一期に3億円ずつ(両方引き下げ)お互いが手に入れるよりも、

お互いが5億円ずつ(両方維持)手に入れたほうが得なんだけどなぁ・・・」

と気づくでしょうね。^_^:

ただし、「自分だけが維持で、相手は引き下げ」だと、今までよりも

(自分にとって)悪い結果になることがわかっています
(自分の利得が 3億⇒2億にダウン)

となると、

それでも相手が「維持」を選ぶようなインセンティブをいかにして持たせるか?

が重要になりますね。 ※インセンティブ=そうしたいと思う気持ち

自分が維持を選ぶと実は特になるんだな〜」といかに思わせるか、と言い換えてもいいですね。

その作戦の一つに

『おうむ返し戦略』

というものがあります♪^▽^

おうむ返し戦略というのは

「相手が前期してきた戦略を、今期自分が選ぶ」という、

きわめてシンプルな作戦です。^_^:

たとえば、

前回相手が「引き下げ」を選んでいたなら、今期自分は「引き下げ」、

前回相手が「維持」なら、今期自分は「維持」ということですね。^_^


実際にAがこの戦略で戦うと、

@Bが引き下げをし続けようとする

Aも引き下げを選び続けて、相手にとっても3億円づつしか手に入らないことがわかる。

ABが気まぐれで維持を選んだ

Aも次に維持を選ぶので、相手は「前期の自分の行動が来期の相手の行動になる」と気づく

BBは「自分が維持を選んでる限りAも維持を選ぶんで、5億円の利得が得られる」

と気づくので、Bは維持を選び続ける

Cその状態でBがもし引き下げを選んでしまうと

Aは次に引き下げを選ぶので、次の時期にBの利得が今より減るのが確定してしまうので、

Bはこれ以降引き下げを選ぶことはなくなる


と、@〜Cのような流れで、Bをうまいこと「維持」に誘導できると思われます♪^▽^

この作戦の一番おもしろいところはCの部分です。^〜^

Bが維持を選ぶ限りは、Aの作戦はBにとってもプラスなのに、

Bが引き下げを選ぶと、Aの作戦はBにとってマイナスになってしまいます。

Aは「前期の相手の行動を今期まねする」という動きをしているだけなのに、

Bにとってはそれが上手い具合に「アメとムチ」の状態になるのですね♪^○^


この作戦のもう一つ良い点は、「選択自体を強制していないこと」です。

どういうことかというと、別に誰かが命令して、強制的にBを「維持」に向かわせたわけではない

ということですね。

別に、Bは「Aの利得を増やしてやろう」という利他心で行動したわけではなく

「維持を選んでおけば、自分の利得は5億円でい続けられるな♪」という

自分の利得だけを追求した利己心です。^_^:

詳しくは言いませんが、

利他心よりも利己心のほうが、

結果的に長続きしてなおかつそれをし続ける意義も大きく

下手に利他心を(武力などで)強制するよりも良い結果が得られる場合が多い

ということを覚えておいてください。


はい、とりあえず今回の講義で囚人のジレンマの問題は

「おうむ返し戦略」によって打破される場合があることがわかったので、

これが経済学的にどう応用できるかを次回考えてみましょう☆^○^


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