講義46. モラルハザード

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はい、今回は「モラルハザード」という現象を見ていきます♪^ー^


モラルハザード(moral hazard)というのは、

辞書的には

保険に加入した人が、

保険の対象となる危険避けようという努力をしなくなること

です。

一番簡単な例が火災保険なので、

まずはその例で見ていくことにしましょう。


火事というのはほんの1時間足らずで

標準的な一軒家を全壊状態にするという

ものすごく危険なことであるといえます。

生命の危険もありますが、

なんと言っても『財産』の損失が大きいですね。。。T_T

まず「家」そのものが無くなるわけですから、

これから先どこでどのように暮らしていけばよいのか、

そのお金はどうやって作るのか、といった損失があります。

他にも家の中にあった有形の財産は

ほとんど燃え尽きてしまう
わけですから、

現金やタンス預金、骨董価値のあるものなどの損失も大きいです。

こう考えると、

「万が一火事になっても保証してくれる保険があればなぁ」と思う人が出てくるのも当然ですし、

「火事の保険を作ったら需要が多くて儲かるんじゃないかなぁ」と思う人が出てくるのも当然です。


しかしです、ちょっと考えてみて欲しいのですが

「保険によって損失の100%を保証しますよ〜」

という場合、人間の行動はどうなるでしょうか???

たとえば、家が火事になったとき

「家そのものの金額」も「その他財産の金額」も

全て保険会社が保証金として火事に遭った人に支払われる
とします。

こういう場合ですね、普通の人であれば

保険に入ったとたんに全く火災対策・防止努力をしなくなります!

というのはですね、

火災対策や防止努力をすることで火災発生率は下がるのですが

保険に入っていればそもそも火災が起きた時の自己負担損失が全く無い

ので、正直なところ

火事になっても全然かまわない(自己リスクが無い)、という状態だからです。^_^:

別に火事になっても自分に損が出ないのに、

わざわざ火災対策なんてするのはお金や時間や労力の無駄になりますから。。。

↑ちょっと考えると上の話、変なところがあります。

もともとは「火災のリスクや損失を避けたい」という

火災に対して用心深い人だからこそ入った保険であるにも関わらず、

その保険に入ったとたんに

今度は火災対策が怠慢に
なっています。

これはある意味「保険が人間の行動(インセンティブ)をゆがめてしまった」といえそうですね。^〜^:


似たような話は他にもありまして、

たとえば公営企業というのはですね

別に経営者が怠慢経営を行って大きな損失をだしてしまったとしても、

損失は政府が埋め合わせてくれるので

一向に経営改善せず、管理責任を怠る場合が多くなりがちです。^_^:

これも一種のモラルハザードですね。
(保険会社≒政府 保険加入者≒公営企業)


モラルハザードの根本は

「行動の責任者」「行動の損失を埋める者」

が全く別になっていることでしょう。

Aさんの怠慢で火事になるのに、B保険会社が損失を埋める、、、

公営企業の経営者の責任で大赤字なのに、政府がその損失を埋める、、、

まあ、当然当事者の責任感は薄れるわけです。^_^:

とはいえ、じゃあ保険が全くダメなものかといえばそういうわけでもなさそうです。

たとえばですね、火災時に『損失の50%だけを保証する』という保険の場合、

当事者が火事が起きたら財産の半分を失うわけですから、

たとえ保険に入っていてもある程度火災防止の努力はするでしょうし、

自らの意思で家に火をつけるようなバカもいないでしょう。^_^:

つまり、保険も形態保証するものを工夫することで

(怠惰や怠慢といった)行動のゆがみをある程度抑え込むことが出来る』といえそうです。


次回は「善意と無知」という話をします☆^▽^


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