講義31. 共有地の悲劇

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はい、今回は「共有地の悲劇」ということで、

『全体』と『個人』のかかわりを見ていこうと思います♪^ー^


産業革命前のイギリスの伝統的な農村には

コモンズという共有地があったそうです。^_^

そこでは農民が家畜を放牧したりして自給自足の足しにしていたとかどうとか。

産業革命以前は特に問題はなかったのですが、

問題は産業革命以後です。 ̄_ ̄:

産業革命がおこり羊毛に対する需要が増えた途端、

自給自足という範囲を超えて商品として羊毛を売るため

より多くの羊を放牧するようになりました

それで何が問題になるかというと、

羊を多くすればするほど共有地内の牧草が足りなくなって

根っこまで食べてしまうそうなのですが、

そうなると期に育つはずの牧草までなくなってしまうことになりますよね。^_^:

となると、エサ不足で羊の育ちが悪くなって

一頭からとれる羊毛も少なくなり一頭あたりの利潤も減りますね。


で、ここからが今回のポイントなんですが、

多数の人間が使う共有地だからこその悲劇がそこにあるわけです。TдT


もし仮にその土地が誰か1人のもので、

1人で羊100頭放牧しているのなら、

あまりに羊を多く放牧しすぎて牧草がなくなってきた時点

「こりゃやばい、羊を減らそう」とか思うでしょう。

そうしないと100頭の全ての発育が悪くなって、

100頭全ての羊から得られる羊毛が少なくなる(利潤も少なくなる)でしょうから。

「100頭全て」という部分を強調しておきます!

1頭あたり1万円の利潤が出るとしたら、100頭で100万円、

もし羊を増やして110頭にしたことで発育が悪くなり、

一頭あたり利潤が9000円になったら 利潤=9千×110=99万円、、、

利潤が下がってしまいますね。TдT

1人で110頭も育てていると、

1頭あたりの値段が下がっただけでもかなり利潤が下がります!(強調)

なので、一生懸命計算やら手入れやらして、

何とか土地が荒廃しないように頑張るでしょうね。(責任は自分に)


一方、共有地のように小規模な農家多数で利用」している場合はどうでしょう?

ここで前回の講義でお話した『自分ひとりくらい〜〜』のインセンティブが働きます。^〜^:

たとえばですね、ここに20人の農家それぞれ5頭ずつ

合計100頭の羊が放牧されていたとしましょう。

ここで、たとえばAさんが「自分ひとりが羊を増やしたところで、牧草も減るまい」と思い

羊を6頭に増やしたとします。当然Aさんの利潤は上がります

それを見たBさんが「自分も1頭くらい増やしても大丈夫だろう」と思い、

羊を6頭に増やしたとします、当然Bさんの利潤は上がります

それを見たCさんが――――

と繰り返していくとですね、

全員が1頭ずつ増やして、合計120頭もの羊が溢れることになります。^_^:

で、牧草がなくなってきて全体の羊の発育が悪くなって、一頭あたりの利潤が減ったとしましょう。

そうするとですね、またAさんが

「利潤を増やすために、自分ひとりくらい羊を二倍にしても大丈夫だろう」とか

考え出すと思うんですよ。^_^:

で、負けじとBさんもCさんも〜〜〜〜と繰り返すと、

もう共有地は荒れ果ててどうにもならなくなります。。。これが共有地の悲劇。。。T△T


話をまとめるとですね、


『全体』が協力して羊の数を抑えれば利潤も確保できる

・けど!『個人』にとってみたら自分だけ羊を増やせば利潤が増える

・それなら俺も増やしたほうが良いな――と、結果的に『全体』が増やすようになる

共有地が荒廃する。。。

という流れですね。^_^:

これって受験勉強と同じ流れなんですよ?(わかりますかね?)


『全員』が受験勉強をしなければ楽しく学生時代をすごせるし大学進学も競争的にならない

・けど!ある『個人』自分だけ受験勉強しておけば大学進学に非常に有利になる

・それなら俺もやったほうが――と、結果的に『全員』が受験勉強をするようになる

学生時代を楽しく過ごせない大学受験がさらに競争的になる

う〜む、まあ受験勉強がいいか悪いかはおいといても、

「自分だけが――」のつもりがいつのまにか『全体が』となるところは一緒ですね。^〜^:


精神的な部分で私が危険だなぁと思うのはですね、

そうなった結果を誰一人として「自分の責任と感じない」ところだと思うんです。

『全体』とか『社会』ってのは個人から構成されてるんだから、

その個人が「社会が○○だったから」「全体が○○だったから」という言い訳をしているのを見ると

『お前もその社会の一員だろうが!』と一喝したくなるんですよ。^_^:

なぜか

自分だけ社会から切り離されている責任の無い存在かのように

言い訳する方々が多いので。。。T_T


次回からは極簡単な「モデル分析」というものをしてみます☆^○^


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