講義23. 2つの公平

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はい、今回は前回の続きで

税における「公正」とはどういうものか、ということを考える上で役にたちそうな

「公平という言葉に含まれる2つの意味」を見ていきましょう。


経済学・財政学を学ぶにあたって、

「公平」という言葉が出てきたときには、伝統的に2つの意味があります。

一つは「水平的公平」というものです。

これは端的に言うと『等しい能力の人は等しい負担をする』ということです。

たとえば

ホテルで同じ料金を支払っているなら同じレベルのサービスを受けられる

というのは、水平的公平が満たされているといえそうですね。^_^

これを租税に関して考えてみると、

同じような支払い能力がある人は同じくらいの税を支払う、とか

同じような所得の人であれば同じくらいの負担をする

というような感じになります。

同じような所得なのに、うちはたくさん税を払ってお隣さんは無税だ、というような場合

あまり公平とは感じないでしょう。^〜^:


もう一つは「垂直的公平」というものです。

これは端的に言うと『異なる能力の人は異なる負担をする』ということです。

たとえばですね、

ホテルで異なる料金を支払っているなら異なるレベルのサービスを受けられる

というような場合、垂直的平等が満たされているといえます。^○^

これを租税に関して考えてみると、

異なる所得の人であれば異なる負担をする

というような感じになります。

極端な話、

もし隣はウチの100倍稼いでいるのに払う税額が同じ、というような場合

あまり公平とは感じないでしょう。^〜^:


さて、とりあえず「水平的公平」「垂直的公平」という

2つの公平感を見たわけですが、もしこの二つを満たしていれば

それはかなり広く受け入れられる税制となりそうな感じです。

では、これを同時に満たすような税制とはどういうものでしょうか???

話を単純化するために所得にかける税を考えてみましょう。

その前に、もし所得だけを考えるなら、

「同じ所得ならば同じ税額」という場合、かならず水平的平等は満たします。

なので、以下では垂直的平等だけに関心を向けていきます。


まず、

『定額税』はダメみたいです。^_^:

定額税は垂直的公平という基準を全く満たしませんから。。。

例) Aさん・・・所得100万で税1万円
Bさん・・・所得20万で税1万円
Cさん・・・所得5万で税1万円

↑これはあまり公平とはいえないでしょう。(「均等」と「公平」は違いますよ〜)


では、『比例税』はどうでしょうか?

例) Aさん・・・所得100万で税10万円
Bさん・・・所得20万で税2万円
Cさん・・・所得5万で税0.5万円

↑例では所得の10%を税とする、という方式にしてみました。(所得に比例)

これなら「異なる能力(所得)の人は異なる金額を納める」ことになっています。

一応、名目金額の上では垂直的公平は満たしていますが、

実質的には皆所得の10%という負担なわけですから、

あまり「異なる負担」にはなっていないのかもしれませんね。^_^:


じゃあ、今度は『累進税』ではどうでしょうか?

例) Aさん・・・所得100万で税30万円
Bさん・・・所得20万で税4万円
Cさん・・・所得5万で税0.5万円

↑例では、

一番稼いでいるAさんには30%、
まあまあ稼いでいるBさんには20%、
貧乏なCさんには10%

という税率で負担を求めました。(所得が上がるほど対所得負担割合も上がる)

これであれば、実質的にもある程度は

「異なる能力(所得)の人は異なる負担をする」ということを満たしていそうです♪


『定額税』『比例税』『累進税』という三つのパターンを見ましたが、

とりあえず累進税一番「垂直的平等」を満たしそうな感じなのはわかりました。

しかし、じゃあこの

累進税が一番理想的な税制だといえるのか?ということを考えると

それはそれで問題がありそうな感じなんですよ。^〜^:

たとえばですね、

累進税の場合、もし頑張って働いて所得が増えたとしても、

それに沿うように税負担が増えていきます。

一応、所得が増えても可処分所得(所得−税額)が減らないようには工夫されていますが、

それでも

「今までの4倍くらいは働いたつもりなのに、手取り給料は1.5倍ほどかよ・・・」

というような事態もありえるのです。(あまりに極端な累進だとね)

経済学用語に言うと、「労働のインセンティブが低下する」ということですね。

これが結果的に経済成長や資源の効率利用を阻害するかもしれません。

あとですね、累進度の決め方を複雑にすればするほど、

前回習った租税3原則の中の『簡素』が損なわれる可能性もあります。T_T


まあ、実際のところ世の中は

金持ち=少数 貧乏人=多数

という構成なので、

相対的に貧乏人に優遇になる累進税が多く採用されます。

その理由はわかりますよね、そのほうが政治家が選挙に勝ちやすいからです。
(貧乏人全員の支持が集まれば、たとえ金持ちに支持されなくても当選)

で、選挙に勝ったあと今度は金持ちに対する優遇をウラで進めていく。。。

政治は怖い怖い。。。TдT


次回は「付加価値」という専門用語のお話です☆^○^


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